国際女性デーに向けてのインタビュー

はじめに

 3月8日の「国際女性デー」にあわせて、UNFPA(国連人口基金)事務局長ナタリア・カネム氏と職員の方々が来日されました。2024年3月1日、海と空クリニック京都駅前にて、女性をとりまく問題について、セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)Japan代表 池田裕美枝さん、SRHR学生ボランティアおよびハピネス理事長 宇野明香が発表を行い、ディスカッションを行いました。総勢30人ほどが集まり、活発な議論が行われました。

ファシリテーター兼通訳は、国連人口基金駐日事務所(UNFPA Representation Office in Japan)所長の成田詠子さんがつとめました。

発表・ディスカッション

  1. SRHR Japanの学生ボランティアの発表

 最初に、学生ボランティアさん達が「わたしが未来を思うとき」というタイトルで発表しました。妊娠・出産について、そのこと自体にネガティブな印象を持っている人、子どもを産み育てることについて今の日本では負担が多く難しいとの意見や、子どもはかわいいし、自分も元気をもらえる、などポジティブに考えている人がいました。

 学生さんの発表について、カネム事務局長からは「この場にいてくれることが重要」というコメントがありました。若い人たちにとって未来が明るく見えていないことに衝撃を受けましたが、そういう学生さんが、このような集まりに自主的に参加すること自体に意義があると感じました。

 局長への質問として、自身の妊娠出産とどう向き合ったかというものがありました。30歳の時に出産したこと、自分の産みたいように産めなかったことや、大学教授であったがために嫌な思いもしたことなどをお話しくださいました。産後入院中にもかかわらず仕事を持ってこられたというエピソードは、日本ではまずない例だと思いました。

  1. ハピネスの発表

 私たちの発表では、子ども食堂を中心とした活動を大まかに紹介したのち、少女を一時的に保護するためのシェアハウスである「ハピネスハウス」事業について説明しました。ハピネスハウスは、様々な事情から家に帰ることができない少女たちの、一時的な避難場所として2022年に立ち上げられました。心に傷を負った少女たちは私たちだけで対応しきれないケースもあり、看護師、医師、弁護士、ユースワーカーなどの専門家にも相談しながらサポートしてきました。

 私たちの活動に対しては、UNFPA職員の方々から「非常に素晴らしく、重要な活動だ」とのコメントを頂きました。また、現在ハピネスハウスは少女のみの受け入れだが、少年についてもニーズがあるはずだとのご意見もありました。今後の展望についての質問へは、「利用する多くの少女が傷ついており、そうなる前段階の、予防のほうが大事だと考えている」との返答に、UNFPAの職員たちは非常に納得した様子でした。

 ディスカッションのあとの休憩時間においても話が白熱し、物件購入の資金が政府から出ているわけではないこと、私たちの活動が寄付や助成金で賄われていることなどを話しました。職員の一人は、「日本は先進国であるというイメージが強いのに、このような取り組みが民間で行われていることに驚いた」と仰っていました。

  1. 池田さんの発表

 池田さんは産婦人科医という立場上、日常的に妊娠・出産や中絶などの問題に触れており、セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)研究会の発起人でもあります。SRHRは日本語では「性と生殖に関する健康と権利」のことを指します。SRHRという言葉や概念は海外では当たり前に扱われているそうですが、日本ではその言葉すらなかなか根付きません。このことは「個人」「個」の意識が、海外と日本では異なっているためではないか、とのことでした。また、近年のLGBT法案や内服中絶薬の認可といった動きが出てきているのは良い流れであり、次のステップである避妊・中絶の公費負担についての議論を進めたいとのことでした。

 池田さんおよびハピネスからUNFPAへの質問は「包括的性教育はどの国がどのようにアレンジしているか?」というものでした。性教育が適切に行われている国々では中絶率が低いこと、逆に中絶率が高い国では性教育が不十分な傾向にあるという国別のデータがUNFPAにはあるようです。驚いたのは、北欧5か国では1960年代から包括的性教育のカリキュラムが整備されているということでした。日本でも性教育は行われていますが、未だに問題がなくならないこと、むしろ低年齢化していることを考えると、早急に正しい教育が行われることが望ましいと思いました。

さいごに

事務局長のお話の中で、妊娠・出産は自分の選択で行うべきであり、自己犠牲で子供を産む産まないを決めるべきではないというのが特に印象に残りました。自分を大切にすることが何よりも大事であること、そのことが世界中の女性だけでなく、全ての人々の幸せにつながるということを再認識した一日になりました。

私たちの活動を評価していただいたことにとても感動し、エンパワーされました。これからも自信をもって活動を続けていきます。今後も連携して活動していけることを願ってやみません。@SHRHjapan@UNFPA@UNFPA_Japanの皆様ありがとうございました。

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